MAGAZINE Vol.5(前編)

サステナブルなスタイルで“世界にひとつだけ”の
アウトドアギアをつくる「コトパクシ」

この春から日本に本格上陸するアウトドアブランド「cotopaxi(コトパクシ)」。

本国アメリカでは、パタゴニアやザ ノース フェイスのような
メガブランドを引き合いに出されて語られるほど、注目度を高めている存在だ。

アウトドアシーンが活況な日本で、その存在が多くの人に知れ渡るのにさほど時間はかからないだろう。
一体どんなブランドなのか。ひと足先に、チェックしておこう。

限られた素材で最高のギアをつくる

コトパクシのラインナップは現在、バッグとアパレルの2つに大別される。
特にバッグは、キャンプや登山、クライミング、サイクリングといったアクティビティはもちろん、
旅行、ビジネス、タウンユースに至るまで、さまざまなシチューエーションで活躍する、多種多様なラインナップをもっている。

ルックス面で特徴的なのは、見ているだけでワクワクするようなそのカラフルさ。
ユーザーの遊び心や冒険心を刺激するデザインで、アウトドアギアではスタンダードなモノトーンや単色使いのアイテムはほとんどない。
そんなところも他と一線を画す所以だ。

代表作は「THE DEL DÍA Collection」。
「Del Día(デルディア)」とは、スペイン語で“その日の”を意味する。

「レストランの日替わりメニューのように、その日仕入れられる材料で最高の料理を作る」。

そんな意味合いだが、このネーミングにこそ、コトパクシのブランドとしての在り方やモノづくりが込められている。

幼い頃に芽生えた貧困問題への当事者意識

コトパクシは、2013年にアメリカ・ユタ州のソルトレイクシティで誕生した新興ブランドだ。

創業者の名はデイビス・スミス(Davis Smith)。

彼は4歳の時に、中南米の最貧国のひとつであるドミニカ共和国に移住した経験をもっている。
そこで目の当たりにしたのは、自分と同世代の子供が裸足で物乞いをする姿をはじめとした貧困国の現実。
その光景は彼に強烈なインパクトを与え、「世界により良い変化をもたらしたい」と考えるきっかけとなった。

その後もブラジルやエクアドルといった南米諸国を転々と移り住んだスミス氏。
アマゾン川での川遊びやエクアドルのコトパクシ国立公園でのキャンプ、離島での自給自足生活など、
彼にとってアウトドアは生活の一部であり、至極身近な存在になっていた。

やがてアメリカで学位を取得し、ブラジルでいくつかのeコマースビジネスで成功を収めていく中、
彼の心に沸々と湧いてきたのは、幼い頃に抱いた貧困問題への当事者意識である。
そして、その解決手段として始めたのが「コトパクシ」なのだ。

人々の幸福を実現するサステナブルな生産ストーリー

ブランドのコンセプトは“Gear for Good”。
質の良いアウトドアギアを通して、貧困に苦しむ人々を救う、ということだ。

具体的には、フェアトレード認定工場での製造ラインの確保など、
発展途上国労働者の自立促進とあわせ、自社の財団を通した支援活動を積極的に行うこと。
そして、無駄を最小限に抑え、環境に配慮したモノづくりを実践することである。

例えば、コトパクシの製品は、そのほとんどが(Re)Purpose™素材を使用して作られている。
Repurposeとはすなわち、「別の目的のために再利用する」という意味で、
他社がさまざまな製品を大量生産する過程で残った生地や素材などの残材のことを指す。

そのシーズンに仕入れた“残材”の中からカラーパターンやデザインを決め、素材がなくなったら生産終了。
再び、新しい“残材”を仕入れ、その中でまた新しいカラーパターンを作成する、
というサステナブルな生産ストーリーを確立している。
これは、自分たちが製品を作ることで、素材の無駄使いを少しでも減らし、
引いてはそれが環境問題への影響を最小化することに繋がる、という考えから生まれたものだ。

しかも前述の「THE DEL DÍA Collection」然り、
(Re)Purpose™素材を使用した製品にはすべて“世界でたったひとつのカラーパターン”ないし、
“限定カラー”という付加価値がついてくるわけだから、
自然が大好きでギアへのこだわりが強いアウトドアズマンたちから注目されるのも頷ける。

しかしながら、一度必要とされなくなった素材を再利用してつくられた製品ということは、
場合によってクオリティに難があるのではないか、と考えなくもない。

しかしそこはご安心を。
幼い頃からアウトドアに親しんできたスミス氏が、
アウトドアギアにおけるクオリティの重要性を人一倍理解しているのは言うまでもない。
RDS(Responsible Down Standard)認定を受けたダウンを使用していることはその一例だ。
RDS認定とは、動物を人道的に扱い、透明性の高い(いつ・誰が・どこで作ったかがわかる)工場で生産され、
倫理的な責任を持って調達されたものであることを保証するもの。
デザインだけでなく、素材も“より良い”ものを厳選して使うように徹底されているのだ。

環境に配慮し、作り手の利益を考え、ユーザーに悦びをもたらす。
コトパクシのモノづくりには、そこに関わるすべての人の人生をより良くする“Gear for Good”の精神が貫かれている。

  • Edit&Text:Soichi Toyama

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