INTERVIEW Vol.2

ジュリ・エドワーズヨガ インストラクター

古い価値観を手放すことで新しい自分に出会える。

ヨガインストラクターのジュリ・エドワーズさん。
彼女のライフスタイルを語る上で、当たり前だが、ヨガを切り離すことはできない。
東京・原宿にある自身のスタジオ「IGNITE YOGA STUDIO」を拠点として活動するなか訪れたコロナ禍。
しかし、その前後に訪れた変化はむしろ、彼女やそのまわりの人々に新たな気づきを与えてくれたという。

制限ができたことで新しい風が入ってきた

朝6時に起床し、白湯を作る。それを冷ます間に瞑想を10〜15分。
その後、ボルコ(愛犬)とともに散歩に出掛ける。
これがジュリさんの毎朝のルーティンだ。早起きの習慣は休日でも変わらない。

ヨガのレッスンは朝8時にスタートする。もちろんスタジオで行う日もあるし、今ではオンラインでのレッスンもすっかり浸透したという。
昨今の新型コロナウイルスの影響で、すっかり耳馴染みになった“オンライン”というワード。
ジュリさんのようにヨガに携わる人たちにとっても、大きな変化をもたらした。

「もともと、もっと多くの人にヨガを体験してほしい、という想いがあったので、
『オンラインのレッスンも増やしていかなきゃ』というのは、以前から考えていたことでした。
YouTubeに動画をアップすることなんかもそうですね。
でも、スタジオのオペレーションで手一杯だったりして、できていなかったんです。
そういう、“やろうと思っているのに、やっていなかったこと”が実践できたという意味で、すごくポジティブな変化だったと捉えています」。

それまでスタジオに来てくれていた生徒さんたちに、せっかく身についたヨガ習慣を続けてほしい。
そんな強い想いから「やり方はよくわからない。でも、とにかくやってみよう」と、インスタライブでのレッスンをスタートさせた。

「毎朝8時に配信を始めたら、今までスタジオに来てくれていた生徒さんじゃない人たちまで訪れるようになったんです。
それこそ、当初は100人程度だったのが、1500人以上の人が見てくれるようになって。
『10年以上運動していなかった母が毎朝ヨガで体を動かしています』とか、
『夫婦で毎朝ヨガをやるようになりました』とか、嬉しい反応もたくさんありましたね。
それまでは『スタジオに来てもらってヨガを伝えなきゃ』と思い込んでいました。
でも、ご自宅からスタジオが遠くて行けない人、スタジオに行くほどでもないなあと思っている人、
自分だけできなかったら恥ずかしいと尻込みしている人……、さまざまな事情を抱えている人がいる中で、
『少しでも多くの人に!』というのが私の願い。
違う方法でも伝えることはできるんだと、実際にやってみてわかったんです」。

コロナ禍の状況は、ヨガ業界にとっては痛手と一般的には言われている。
けれど、新しい人たちを含め、より多くの人にヨガの魅力を伝えるという彼女の想いは広がっていく、
いいきっかけになったことは間違いない。

「やっぱり、『実際にスタジオでレッスンするとエネルギーが違う』なんて意見は当然ありますし、
難しいポーズは教えられないとか、一方通行のレッスンになってしまって全員に目が行き届かない、といった課題はありますけど、
体を動かすことで健康はもちろん、マインドも豊かになると思うので、
オンラインでまずはそのきっかけをつくってくれればいいなと思っています」。

外から内へ。自分らしさを見つめ直すことで得た気づき

誰にも予測し得ない変化の中、ヨガインストラクターとしての新しいあり方を実践し、
手応えをつかんだ一方で、ジュリさん個人には、どのような変化があったのだろうか?

「最近始めたのが、毎日5kmのランニングです。これまでもフルマラソンは6回走ったし、
アイアンマンにもチャレンジしたことがあるんですど、毎日コツコツ練習するのが苦手だったんです。
だから、『苦手なことにチャレンジしてみよう』と。
ヨガはやりたいと思ったらすぐできるんですけど、ランニングは『ああ、やりたくないな……』と思っているうちに時間が経ってしまう。
そのメンタルチャレンジがすごく面白いんです。
でも習慣化することで、体にも心にもポジティブな変化がありました。
たった30分で1日の気分が切り替えられること。仕事が忙しい時期でも続けられている経験が自信になったこと。
そして『走ろうかな、どうしようかな』と思っている時間がすごく無駄だと気づいたこと(笑)」。

ヨガやランニングの他にも、サーフィンやスノボーなど、とにかく体を動かすことが好きなジュリさん。
休日は都内を出て自然の中で過ごすことがほとんどだったそうだが、今の状況ではそうも言っていられない。

「今まではとにかく『外で何かしよう』という意識で過ごしていたぶん、家の掃除をしたり、本を読んだり、
ジャーナリング(気づいたことや頭に浮かんだことを紙に書き出すこと)をしたり……、
家時間の大切さに気づくことができましたね」。

“制限”ができたことで訪れた変化。でもそこには、これからの時代に必要な、さまざまな“気づき”がたくさん隠されていたのだ。

「形にとらわれないことが大切になってくるんじゃないかと思います。
『こうでなくてはいけない』という価値観や形式が、いろいろなところで崩れたと思うんですよね。
それはヨガ業界においても、私自身においてもそうでした。でもそのぶんクリエティブになれた部分もある。
今までやってなかったことを、どうやっていくか、って考えられるようにもなりました。
いろいろな情報で固められていた自分のまわりのレイヤーを剥がしていくなかで、改めて自分らしさって何か?
そうあるために、自分をどういう環境に置けばいいのか?
そういうことを、一人ひとりが自分で決めて、選んでいけるようになっていくんじゃないかと思いますね」。

不要なエネルギーを削ぎ落として、自分らしさを取り戻す作業。それがまさにヨガだと、ジュリさんは言う。

目の前の現実や、沸々と浮かんでくる思考。
それにとらわれそうになるのは避けられない。
大切なのは本来の自分をしっかりと捉えて、日々、自分自身をしっかりと見つめる、その視点をブラさないことだ。
従来の価値観や制限にとらわれないこと。
そして、自分自身に対して素直であること。
それが、新しい時代における豊かさなのかもしれない。

自分のまわりのレイヤーを剥がしていく。
そうして自分らしさを取り戻せるのがヨガだと思う。

ジュリ・エドワーズ

東京で生まれ育ち、16歳の時に渡米。大学在学中、カリフォルニアでヨガと出会い、
その後移住したハワイでヨガインストラクターとして活動を始める。
2015年、アスレチックウェアブランド「ルルレモン」の日本での起ち上げを機に帰国。
2019年4月、自身がオーナーを務める「IGNITE YOGA STUDIO」を原宿にオープンさせた。

<撮影協力>
IGNITE YOGA STUDIO

〒150-0001
東京都渋谷区神宮前5-16-13
https://www.igniteyoga.jp/

  • Photo: Akane Watanabe
  • Edit&Text: Soichi Toyama

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