INTERVIEW HINAKO KANDA|マガジン|アルコ株式会社

2022年、フラの世界大会と称される最大の祭典メリーモナークに出場。
三度目の出場を終えた彼女が感じたのは
異文化を学び継承していくための葛藤と責任だった。

フラダンス。海とヤシの木、そして照りつく太陽の下で踊っている姿を想像する人が多いであろうフラ。恥ずかしながら私もその1人だった。

ハワイ語でHula(フラ)とは“踊る”という意味でフラダンスとつい言ってしまいそうになるが正しくは“フラ”であるこの伝統文化は、本来ハワイではコミュニケーションに必要な言語の役割をしていたそうだ。

「8歳の頃にたまたま近所にあったフラ教室に出向いたのがきっかけでした」。湘南生まれ湘南育ちのHINAKOさんは幼少の頃から海のそばで過ごしスケートボードにサーフィンそしてフラ、と湘南カルチャーをしっかりと受け継いでいる1人だ。

「両親がサーファーだったこともあり海に行くのは日常で、友達と海で遊ぶことも多かったです。小学生4年生くらいの時に母親に連れていってもらった鵠沼スケートパークでスケートボードと出会い、毎日のように通っていました。当時はまだ女の子のスケータも少なくて男の子の中で一緒になって練習していましたね」。

スケートボードを中心に横乗りに触れる機会が多かった彼女がなぜフラへの道をたどることになったのか?

「当時、周りの友達が習い事を始めているタイミングだったんですが両親共働きということもあってどこにも通えなかったんです。そんな時にたまたま近所にフラ教室があって。家から数分という立地で両親もここならということで通わせてもらいました」。

「それこそ最初は習い事をしているという感覚で通っていたんですが、転機が訪れたのは小学5年生の時にチームのメンバーとして始めて出場したコンテストでした」。

優勝チームには、ハワイで行われる本大会への出場権を獲得できるこのコンテストで彼女たちは圧倒的なレベルの差を見せつけられたのであった。

「この時の負けが本当に悔しくて。それはもう言葉では言い表せられないほどでした。大会終了後に当時の先生が来年はもう出ないと発表してしまって。笑どうしてもこの大会で優勝したかった私たちは、みんなで先生に直談判までしたんですよ。笑」

そんな彼女たちの熱意に動かされ翌年のコンテストに出場を決めたチーム。練習もHINAKOさんを中心に自発的に行い、翌年同大会で優勝を果たす。

「何か目標を持って頑張る楽しさを覚えたのがこの時でした。この大会の練習をきっかけにフラをする時の表現力や曲の意味、そうですね、ハワイの文化に触れることが出来たのが夢中になった理由の1つかもしれません」。

翌年出場したハワイ大会では日本人チーム初めての優勝。本場でも認められるほどの踊りを披露したのだ。そしてここからフラの道が本格的にスタートすることとなる。

夢の舞台、メリーモナークに出場するためハワイ留学を決意。日本では触れることのできないハワイの文化である“hula”という存在

「当時私が所属していたチームの本校がハワイ・オアフ島に拠点を構えていたため、高校を卒業後ハワイ・オアフ島に留学をしました。ハワイのフラチームは本当に家族みたいに仲がいいんです。フラが習い事という立ち位置よりも、どちらかというとライフスタイルに近い存在であることに最初、驚きを覚えたのと同時に感激しました」。

チームメンバーをフラシスター、フラブラザーと呼び合うのが当たり前なハラウ(チーム)は家族も同然。

フラの世界大会と称されるメリーモナークフェスティバル。陽気な王様(メリーモナーク)という愛称で愛されていたハワイ王国カラーカウア王。“フラは心の言葉、すなわちハワイ人民の心臓の鼓動そのものなのです。”という言葉とともにハワイの文化フラを消滅の危機から救った王様。彼のニックネームをつけられた同大会は50周年を迎える歴史のある伝統的な大会でもあるメリーモナーク。

2018年のメリーモナーク先発メンバーに選ばれたHINAKOさん。大会3ヶ月前になると練習量が増え、週5日の練習その内2日間はお昼から夜までとハードスケジュールとなる。

「クム(先生)が曲を決め、振り付けを考えそれを私たちメンバーが覚えます。団体演技なのでステップの一つ一つが揃わないと綺麗にならないため、メンバー全員の存在を感覚だけで感じ、踊らないといけないんです。だからこそメンバーとは近い関係でいる必要があるのかもしれませんね」。

Mālama ‘āina(マーラマアイナ)土地(’āina)を敬い愛する(Mālama)という意味

「大地がまずはファースト、そして私たち人間が生きている、というのがハワイの人のベースにある考えだと感じました。私たちフラダンサーは古典フラ(普段私たちが慣れひたしんでいるのは現代フラが多い)を踊る時に必要な楽器も山から調達して自分たちで作ります。ハワイでよく見られる“レイ”(花の首飾り)も同じで、大会やイベント前夜になるとダンサーそれぞれが花や葉っぱを摘み自分の手でレイを作る必要がります。摘む時にも決まった手で取らなくてはいけない、プレ(御祈り)をしながら取らなくてはいけないというルールもあるんです。大地に対しての敬意を表すということなんだと思います」。

神様に捧げる踊り

「メリーモナーク開催前にチーム全員でハワイ島の神様がいるとされているキラウエア火山で踊りを捧げる儀式があります。ハワイの神様でもあるペレに祈るという内容の儀式で、この日のために作った草木の装飾を身に纏い踊り、自分の一部をペレに捧げるため最後にそれらを火山口に投げ入れます。

ここでの踊りは本当に神聖で、大地と繋がれる感覚に涙が自然と落ちてくるほどエネルギーを感じるんです。これもまた大地を敬うという彼らの文化の一つで貴重な体験です」。

2018年、2019年度のメリーモナーク出場、2018年には全日本フラ選手権で勝を果たしたHINAKOさん。3度目となる2020年のメンバーにも選ばれていた彼女であったが、世界的パンデミックにより大会は中止、そして日本へ帰国せざるおえない状況に。フラへの向き合い方が変わった2年間を過ごし彼女はどんな心境だったのか。

「想像していたよりも客観的にフラ見ることが出来た期間だったと思います。もちろん当たり前にあったハワイでのフラがなくなるのは、これからどうしていこうと不安になることもありましたが、“今できることをやる”という意識で過ごしていましたね。ハワイ滞在中にフィルムカメラに出会い、最初はその色合いや雰囲気が可愛いと思って撮り続けていたんですが、周りからの評価も多くて何か形にしたいと思い、個展もいくつか開催しました」。

言葉には出さなかったが、客観的に見て何かを表現するのが好きというのが伝わってくるHINAKOさん。フィルムフォトグラファーとしての活動を精力的に行なっている時もいつも頭にあるのはやはりフラだったそう。そして2022年、規制暖和に伴いメリーモナークが再開催。彼女はまたハワイに戻った。

「一度目、二度目の出場では夢の舞台で踊れている嬉しさや感動であふれていて、楽しい!という感情しかありませんでした。だけど今回は全く別物でした」。

「今まではフラが好き、自分の踊りを見て欲しいという感情が私を突き動かしていたんですよね。でも今回のメリーモナークの旅では、フラという文化をハワイの人がどれだけ大切にしているのかの思いの部分や、踊りだけではなく文化そのものを継承しなくちゃいけないというフラダンサーとしての“責任”を強く感じたんです。でもそこに大きな壁があって。私が日本人ということです。

みんなと同じような気持ち、もしくはそれ以上の気持ちでフラに向き合って今まで生きてきたんですが、それでも私はやっぱり彼らからすると異文化を学んでいる外国人なんですよね。声を大にしてフラについて発信できないというもどかしさと同時に悲しくもなりました。でも素晴らしい文化であるMālama ‘āina(マーラマアイナ)を伝えるフラダンサーとしての責任を正しく伝えていきたいと思いました」。

フラダンサーとして、1人の人間として新しいフェーズに成長させてくれた2022’メリーモナークの旅。彼女の今後の展望はなんだろうか。

「日本の多くの方が持っているフラというイメージを変えていきたいですね。フラの本質の部分を見てかっこいいって思って欲しいんです。男性のフラって凄くかっこいいんですよ。若い子がなかなか育たないというのが日本のフラ業界の現状なんですが、若い世代から憧れられる、そんな業界になれるよう私なりの道を探しいていきます。まっすぐにフラと向き合いながら」。

「当たり前のようにみんなHydro Flaskを持っています」。

ハワイでも日本でもHINAKOさんの生活にはHydro Flaskは必要不可欠だ。

「ハワイで初めてフラの練習に参加した時に、先生が必ず『Flask, Hydro Flask持ってきてね』と私たち生徒に言うんです。もちろん水筒を持ってきてと言う事なんですが、水筒=Hydro Flaskになっているみたいで。だから私も自然とHydro Flaskを手に取っていましたね」。

アメリカ・オルゴン州で2009年に誕生したハイドロフラスクは、現在本国のスポーツ・アウトドア市場でNo.1のシェアを誇るまでに成長している。断熱ボトルブランドである。その影響は多岐に渡り、現在ではライフスタイルに合わせた使い方や色選びをそれぞれが行い、様々な現場で使用されている。もちろんそれはHINAKOさんも同様だ。日頃からおしゃれなカフェやレストランなどへ出向く際は必ずハイドロフラスクを片手に出かけるそうだ。

「エコという観点から持ち運ぶこともありますが、それよりも機能性に驚いています。今の時期友人と海の家やビーチカフェに行った時に、マイカップを使用することで最後まで冷えた飲み物を楽しむことができます。当たり前のようで、外でのイベントを楽しむ時にこれは本当大切だなって思います」。

「また、マイカップを使うことで自分が本来どれだけ紙コップを消費していたのかを再確認出来るので改めて使う大切さを気づかせてくれますね」。

彼女のライフスタイルに欠かせないのはビーチだ。浜辺で涼む彼女の隣にはいつもハイドロフラスクがある。

「たとえば、自宅で集中して作業したい時とか席から立つ回数を減らしたいですよね。冷えたりぬるくなったりするとその都度席を立たなくてはいけないので、そういうシチュエーションにもハイドロフラスクのカップは優秀です。集中して時間が経ってから飲もうとしても、熱っ、てなってしまうくらいなんです」。

筆者もオールラウンドタンブラーにアクセサリー品として発売されているCloseable Press-In Lidを使用しているが、この新しい蓋がとても使い勝手が良い。飲み口が開閉できるタイプなので、揺れや振動で飲み物があふれることもない。

「軽めのハイキングとかであれば、この蓋を使用していればバックパックのサイドポケットに入れてタンブラーを携帯してもこぼれる心配がありません。水の他にも飲み物を持ちたい、という時に便利ですね。運動した後って甘いものを欲したりするので、これにアイスカフェラテやスムージーをいれたりと重宝しています」。

「もちろん利便性も使い続けている理由の一つですが、やっぱり色味も大切です。気持ちが上がるものを持っていたいと思うのは女の子の性ですよね。新しいタンブラーの色は友人にも好評で、すぐネットでチェックしてました」。

機能とビジュアルを兼ね備えているハイドロフラスク。皆さんはどんな時のどのボトルを手に取りますか?

Photo: Dai Wako Edit&Text: Dai Wako