美容師とトレイルランナーの二刀流で “まだ見ぬ景色”を追いかける
東京・恵比寿の美容室「Broccoli Playhair(ブロッコリー プレイヘア)」。木曜日の夜、営業終了時間が近づくと、ランナーたちが続々と集まってきます。オーナーである藤川英樹さんが主宰するランニングチーム「チキンハート」のメンバーたちです。今回はそのグループランに同行。「Topo Athletic®(トポアスレチック)」の試着会も兼ねてのイベントです。なぜ走るのか。そしてなぜチームを作ったのか。藤川さんの言葉の中から、「ランニングが私たちにもたらす幸せ」が見えてきたような気がします。

100マイルレースをメインに活動
「若者を巻き込んでいきたい、というのがコンセプトのひとつなんです」
「チキンハート」のメンバーには若い人も多いですね、そのような質問に対する藤川英樹さんの回答でした。「巻き込む」という強いワードでも、藤川さんの口ぶりに気負いはありません。そしてチキンハートのメンバーは誰もがフレンドリーで、いわゆる体育会的な上下関係もないのです。
「でも、練習はなかなか体育会なんです。坂道を上り下りするピストンランで、ゼーゼーしちゃうやつ(笑)。でも、そのほうがダラダラ走るよりよっぽどいい。終わった後のビールもより美味しいですし」
チキンハートは基本的にトレイルランニングのチーム。それも100マイルレースをメインに活動するハードなチームです。レースにも積極的に取り組み、直近では10月に開催された「OSJ KOUMI 100」に個人、リレーでエントリーしました。
「どうせチームを作るなら本気でやりたかった。ただ、僕がランニングを始めたそもそもの理由はありふれていて、ダイエットのためでした」
藤川さんがこの「Broccoli Playhair」をオープンしたのは、今から12年前。その頃仕事が忙しく運動不足となり、みるみる体重が増加していったそうです。これではまずいと、仲間とともにランニングを始めたのが2015年頃。その当時の仲間が、チキンハートのオリジナルメンバーなのです。

いい意味での根性論がベース
「最初は3名でスタートしました。僕と、代々木上で『ミ チョリパン』というアルゼンチン料理の店を営んでいる中尾さん夫妻です。彼らとともに、2018年にチリのアカタマ砂漠のレースに参加。それが始めてのトレイルランニングでした。
その後一緒に代々木公園で100マイルを走ったあと、“何もできない臆病者でも、頑張ればできるようになる”という思いを込めて、チキンハートと名付けたんです」
ランを始めて3年ほどで過酷なトレイルランニングレースに参加し、完走。その意志の強さに驚かされますが、オリジナルメンバーの経歴を聞いて納得しました。
藤川さんは中学校、高校とひたすら野球に打ち込み、厳しい練習を経験してきました。そして「ミ チョリパン」の中尾真也さんも学生時代はテニスの選手で、全日本大会にも出場したほどのアスリートでした。
チキンハートというチームには藤川さんいわく「昔ながらの根性論」がベースにあるといいます。でもそれは決して理不尽なトレーニングを課すようなものではなく、「頑張ったからこそ見えてくるものがある」という経験則に基づいた信念なのです。

このチームに惚れてほしい
その後、Topoアスリートでもある佃直樹さんがチームに参加。4名になって以降は続々とメンバーが増え、現在では40人ほどの大所帯となりました。
「頑張って練習に取り組んで、100マイルを目指すというのがチームの骨格。でも、実は見た目も大事だと思っているんです。強く、カッコよく。僕自身はもちろん、若いメンバーたちにも『見た目は気にしなよ』と伝えています(笑)」
確かに、この日集まってきたメンバーは誰もがスマートな出で立ち。試着用に用意したTopo Athleticの派手なカラーとデザインも、よく似合っています。
「今日はオープンの練習日なので、初参加の人もいます。10人くらいでしょうか。ランニングが作り出す新しい出会いですよね。でも、こういうグループに飛び込んでくるのってとても勇気がいると思うんです。僕はその勇気を称えたいし、来てくれたからには、このチームに惚れてほしいんです」
そう言うと、藤川さんはメンバーたちに声をかけ始めました。「おっ、久しぶり。ちゃんと走ってる?」「初めての参加ですか?ぜひ楽しんで」「今日はシューズの試着もできますよ!」
おそらく誰もが日中はきちんと仕事をこなしてきているはず。疲れていないわけではありません。でも、誰もが生き生きとした表情。これから始まるグループランへの期待に満ちています。
このメンバーの顔つきが、チキンハートというチームの魅力を代弁していると感じました。等しくこのつながりを楽しみ、等しく苦しい練習に挑む。午後8時、メンバーは「Broccoli Playhair」を後にして夜の街へ。いよいよグループランのスタートです。

速い=偉い、ではない
午後8時半。藤川英樹さんがオーナーを務める「Broccoli Playhair(ブロッコリー プレイヘア)」から程近い場所で、グループランがスタートしました。
全長200メートルを超える坂道を、メンバーそれぞれが、思い思いに走り始めます。いわゆるピストンで、上りと下りを延々に繰り返すのです。吹き出す汗、切れる息。グループランといえど、かなりタフな様相を呈しています。
ただしこの日はオープンの練習日。初心者の人たちも参加しており、彼らは無理のないペースでグループランを楽しんでいました。
「チキンハートのモットーは“強く、カッコよく”。でも同時に“速いは偉いではない”ともメンバーに伝えています」
トレーニングを経て成長を感じることができれば、誰もがうれしくなるはずです。でも藤川さんは、そこで決して調子に乗ってはいけない、と考えているのでしょう。若い頃から野球に取り組み、チームプレイの経験を積んできた藤川さん。彼の言葉の端々には、常に他人への思いやりが感じられました。

ランニングから飲みのシーンまで(?)活躍するシューズ
今回のグループランは、Topo Athleticの試着会も兼ねています。トレイルランニング用の新作「MTN RACER 3」と人気の「ULTRAVENTURE 3」、ロード用の新作「PHANTOM 3」を各サイズ用意。すでにTopo Athleticを履いたことがあるという人も、そうでない人も、多くの人が試着してくれました。

藤川さんが初めてTopo Athleticを履いたのは2019年頃のこと。川口のランニングショップ「ルナークス」で、MTN RACERシリーズの最初のモデルを購入したそうです。
「それを履いて、初めての100マイルレースを走ったんです。香港の『HK168』というレースでした」
それまで藤川さんが履いてきたシューズとは、だいぶ印象が違ったそうです。安定感があって、マメができにくい。ずっと悩まされていた捻挫癖も解消しました。
もちろん現在も愛用中。あらゆるシーンでTopo Athleticを履いています。
「ラン、仕事、そして飲み(笑)まで。私服に合うデザインもありがたいのですが、いつでも走れるようにという思いもあるんです。ウェアも乾きやすいものを着ていますし。電車を途中下車して、走って帰宅していた時期もありました」そして今回のグループランでTopo Athleticを試着したメンバーの声もお届けしたいと思います。
左_がちゃさん(29歳)/ 着用モデル「MTN RACER 3」
「程よい硬さのソールから地面の感触が伝わってきました。前作よりもつま先周りに適度なゆとりがあって、走りやすかったです」
中左_青戸まさなさん(25歳)/ 着用モデル「MTN RACER 3」
「足首周りが柔らかい印象です。粘った感じ捻挫しにくそう」
中_熊谷祐介さん(31歳)/ 着用モデル「ULTRAVENTURE 3」
「ワイド過ぎず、ソールがアーチ(土踏まず)を押してくれる感触があります。グリップ性も抜群」
中右_平田大二さん(48歳)/ 着用モデル「MTN RACER 3」
「先日、前作の「MTN RACER 2」を履く機会がありました。比べるとかなりフィット感が良くなっていますね」
右_浜田尚輝さん(35歳)/ 着用モデル「PHANTOM 3」
「下りでクッション性のよさを感じました。ヒザへの衝撃が少なくて、足が前に出る感じ」
およそ40分のグループランが終了。チキンハートのメンバーたちは「Broccoli Playhair(ブロッコリー プレイヘア)」に戻り、その後飲み会へと突入します。とことん自分を追い込んでから、ともに走った仲間と杯を重ねる。そのお酒が楽しくないはずはありません。
トレイルランニングは僕の武器
前回藤川さんは「どんどん若者を巻き込んでいきたい」と話していました。このチームランを見ればわかるように、今のリアルな20代、30代を巻き込んで活動を続けています。巻き込んで、藤川さんはいったい何を伝えようとしているのでしょうか。
「ランニングを通じて新しい出会いがあるのは素晴らしいこと。でもその出会いに寄りかかるだけではなく、練習やレースを通じてさらに自分を高めてもらえたらと思います。
トレランに真剣に向き合えば、その姿勢は仕事にもプライベートにも必ず活きてくるもの。偉そうなことを言うつもりはありません。ただ自分の経験に照らして、そう思うだけで」
藤川さん自身は25歳から28歳までオーストラリアにてワーキングホリデーを経験。その後30歳まで世界一周の旅を続けていたそうです。その旅でパートナーだったのは、今の奥さま。しかし、日本に帰国後、一度別れてしまったそうです。
「ありふれた話ですが、酒が原因です。別れたあと、トレイルランニングに出会わずにあのまま酒を飲み続けていたらどうなっていたか。結果は神様しかわかりませんが、
きっと、妻と再会することはなかったと思うんです」
今では奥さま、そして1歳半のお子様とともに、充実した家族の時間を過ごしているとのこと。
「トレイルランニングが、僕に新しい景色を見せてくれました。新しい景色とは目に見える風景ではなく、出会いのこと。仲間との出会い、家族との出会い、そしてTopo Athleticとの出会いもそうです。
今となってはトレイルランニングは、藤川英樹の“生きる武器”になったのではないかと思うんです。美容師であることと、同じくらいの武器に」
Broccoli playhair(ブロッコリー プレイヘア)
東京都渋谷区恵比寿西1-30-16 2F
営業時間:11:00〜21:00
定休日:火曜、第1・第3水曜
電話:03-3461-1919
Photo: Kengo Shimizu Text: Tomoshige Kase Edit: Toshiki Ebe(ebeWork)