INTERVIEW NANOHA TSUZUKI|マガジン|アルコ株式会社

笑顔とエアで世界に挑むトップサーファー

「おかえり!」「虹帆、戻ってたのかー」「おつかれさん」。日本で有数のサーフスポットとして知られる愛知県田原市・渥美半島に広がる太平洋ロングビーチで波乗りたちが声を掛ける先で微笑むのはプロサーファー・都築虹帆さん。中学生にしてプロテストに合格。プロツアーでのルーキー賞を皮切りに快進撃を続け、2023年には世界シリーズでアジア1位に輝いた気鋭の20歳です。取材が行われたのは、ちょうど遠征先のオーストラリアから地元へ戻ってきたばかりの日。世界中の波を舞台に飛び回る彼女ですが「田原は世界中で一番ほっとできる場所」とほころびます。

扉をこじ開けた“無垢な突破力”

「サーフィンエリートの一家に生まれただろう、幼少期から恵まれた環境で練習していたのだろう」と誰もが予測するところでしょうが、事実はむしろ逆でした。

「両親の趣味がウインドサーフィンだったこともあり、子どもの頃からよく海に連れて行ってくれましたが私と弟はむしろスケボーに夢中でした」
サーフィンに本腰を入れたのは虹帆さんが小学校高学年になる頃。「ボディーボードで“サーフィンごっこ”みたいなことはしていたんですが、次第に、二つとない“その時の波”に乗る快感にとりつかれました。自然の力を受け止める楽しさ、難しさにハマり、サーフィンにのめり込んだんです」

「サーフィン=ハワイ、と思い込んでいた私は、ハワイの波に乗りたくてしかたなくなりました。両親に『ハワイに連れてって!』とねだったのですが、費用がかかることもあり、『そのうちねー』なんて感じで。『あぁ、これはダメだ』と思って作戦を講じたんです」。

小学6年生の彼女が企てたのは「ハワイに行くための約束事」でした。お父さんはタバコを止める、お母さんは服を買わない、弟はゲームをしない……。旅費を捻出するためのアクションプランを書き連ね、その紙を家族が目にする場所に貼ったのです。熱量は家族に伝染し、ついに小学6年生の夏休み、ハワイ・マウイ島でのサーフトリップが叶います。

「あの時の体験にどれほど感動したか、言い表すことはできません。ただひとつ、決めたことは『サーフィンで生きていく』それだけでした」。

帰国後に参加した男女混合の大会ではいきなり優勝を飾ります。そして、サーフィンへの情熱が高まり切った中学3年生。虹帆さんは、ここ田原への移住を熱望するのです。たった14歳の、切実な願いを家族は受け止めました。

ハイリスク・ハイリターンで世界と戦う

田原で文字通り“毎日”海に入り、腕を磨いてきた虹帆さんの持ち味は、波と風に愛されているかのようなスピードとキレ。そして、大胆で華やかな“エア・リバース”。しかし、エア・リバースはメイクすれば10点、失敗すれば0点。日本では女子の試合でエア・リバースに挑む人は皆無です。

Photo:SURFMEDIA / S.Yamamoto

「でも、だからこそエアを決めて、世界トップサーファーへの足掛かりとしたいんです」パリ・オリンピックへの切符を辛くも逃した悔しさをにじませつつその足はしっかり地についており「そのために必要なことの一つはやはり“基礎”」と語ります。

昨年、オーストラリアのトレーニングコーチに基礎の大切さを諭され「プロとしての実力があると自負していましたが、突き詰めなければならない“基礎”がまだありました。基礎がしっかりすれば私の武器であるスピードやエアの原動力につながると確信しています」海を背景に、終始にこやかにインタビューに応じてくれた虹帆さん。波を一瞥し「入っちゃおうかな」。

無垢な突破力を備えたジーニアスがさらに基礎を磨いた先、どんなライディング、そしてエアを見せてくれるのか…。世界を見据える夢に期待が膨らむのは、私たちだけではないはずです。

環境保護に想いを寄せるミニマリストの旅支度とは?

「去年一年の間で実家にいられた時間を計算してみたら、たった60日程度でした」。

年間300日以上を海外で、それも世界各地へ赴く都築さんですが、どうしても手放せない相棒のようなアイテムがあります。

「遠征での大荷物はボードケースですから、ほかの荷物は極力コンパクトにしたいんです。割と短期間の遠征は、このCotopaxiのALLPA 50L 1つでこなせちゃいます。フィリピン、台湾、韓国と3カ国を巡るツアーもこのダッフルバッグだけで回りました。チームメンバーは『荷物、これだけ?』って驚いてましたが(笑)」

環境を配慮したサステナブルなブランドとして注目されているCotopaxi®︎のダッフルバッグは、遠征に不可欠なベストサイズのバッグとのことですが、その機能性、デザイン面にも太鼓判を押します。

「シンプルなデザインで丈夫。汚れが目立ちづらいし、撥水性もあります。そして、ダッフルバックでありながら、バックパックとして背負える。なにより、ジップをぐるっと回し引けば、大きく開口する構造は、荷物が取り出しやすくて助かります。サーファーにとって心強い相棒です!」

「幼い頃から遊び場といえば、海に限らず自然のなかでした。遠征先で時間が空けば、チームメンバーと一緒に山登りに出たり、滝を眺めたりしてリラックスしています。

心癒される場所が汚かったらイヤじゃないですか。ゴミが散らばっているのも臭いも嫌ですよね。だから手が届く範囲で環境保護に取り組んでいます」

忙しいなか時間を作ってはビーチクリーンに参加し、獲得賞金の一部を環境保護団体へ寄付し続けています。

「寄付するパーセンテージを決めています。サーフィンが上手くなって、賞金が増えれば、寄付できる金額が増えるわけです。このことはトレーニングのモチベーションアップに大きく影響しています」。

こう話す都築さんですから、プラスチックゴミの削減につながるマイボトルを愛用しているのは必然。公共緑地の保護活動を支援する点でも通じるHydro Flask®を4つ所有し、シチュエーションで使い分けているそうです。

「宿泊先から大会会場まで距離がある時は軽量なスリムボトル、ビーチが近かったり、暑い国ではたっぷりサイズを使っています。そうそう、最近手にしたハンドルとストローが付いているニューモデルは、遠征先での車移動時にスムージーを入れて飲もうと思っています」

都築さんのHydro Flaskコレクションのなかでも一際目立つ日の丸ステッカー付きの32ozモデルは、高校1年生で出場した世界ジュニア選手権大会の参加賞だったもの。必要なものを大切に使い続ける“都築イズム”を物語る一本なのです。

 

Photo:Kengo Shimizu Text:Hiroshi Morohashi(LEMON SOUR, Inc.) Edit:Toshiki Ebe(ebeWork)