家や車が欲しくてがむしゃらにお金を稼いでも1000年後には……。
改めて説明するまでもないことだけれどPESさんはHIPHOPグループ『RIP SLYME』の元MC。彼の印象的な高音域とメロウなフロウが青春の想い出に直結する人も少なくないでしょう。
一瞬で聴く人を波打ち際に連れて行くような楽曲を手掛けるミュージシャンであり、生粋のサーファー、そして、グラフィックデザイナーかつコラムニスト……。多才なアーティストでありながら、居酒屋で見知らぬ人にリクエストされたら気さくに歌ってしまうPESさん。
悔しいほどに自然体な“今”とこれからやりたい“未来のコト”を正面から聞いてみました。

2年ぶりの新曲『1000年』に込めた思い
前曲『Chillin’』を発表した2022年7月以降、およそ2年ぶりとなる新曲はまさかのノービートからの進行。
ピアニスト・YUricewineさんのイノセントなピアノの調べに、代名詞である耳心地良いフロウでリズムを刻むというHIPHOPの枠を超えた新境地を見せてくれました。
1000年後の自分たちを想い描く不思議なリリックについては「家や車が欲しくてがむしゃらにお金を稼いでも1000年後には、自分はもちろん、車や家は影もカタチもなくなっていますよね。“今、価値があると思い込んでいるモノやコトってホントに大切?”と問いかけたかった」とPESさん。
その想いを詞に乗せたところ、本人曰く“説教臭い歌”なってしまったため大幅に書き直し、さらにビートすら取り去って「やっと“正解”と思えるものに辿りついた」と語ります。
ちなみにこの曲、鼻歌のようなフレーズが入るのですがこれは行きつけの居酒屋でのある出来事がインスピレーションになったといいます。
店主のおばあさんから「歌手なの? なんか歌って」というリクエスト。快くかつてのヒット曲を歌ったところ、「いい曲だね……」と言いながらも、 “?”の表情が浮かんでいたそう。
「HIPHOPに馴染みがない世代にとってはライムだのリリックだのって難解なんだな、と。うちの母ぐらいの歳でも口ずさんでもらえる曲にしたいと考えていたら、母の鼻歌を思い出して。シンプルな言葉をハミングのように繰り返すフレーズが出てきたんです」
1000年という“地球の時間軸”で人間の営みを俯瞰しているようで今この瞬間を一喜一憂し、もがきながら生きる一人ひとりに寄り添ってくれるような曲に仕上がったのはこんな微笑ましい創作経緯ゆえかもしれません。


波と音楽の心地良い関係
PESさんがサーフィンと出会ったのは14歳の頃。ギターを始めたのがその一年後の15歳だからサーフィンと音楽は、ほぼ同時期にPESさんの人生に現れたといえます。
「音楽ってエンタメだから、人の心に気持ち良く作用しなくてはならない。だから難しすぎてはダメで、曲はできるだけシンプルにしたいんです。波を待つ、いい波が来たら乗るという単純な流れのなかで、一度頭の中を空っぽにしたら、ふっといいフレーズが浮かんでくることがあって。海と音楽は、二人三脚で僕を助けてくれる相棒みたいなものですね」
音楽と、そしてPESさんという人格のために必要だった海と波ですが、疎遠になっていた時期があるといいます。
「20代でメジャーデビューし多忙になって、『大きなハコを抑えているのにケガでもされたら困る』と事務所から控えるように言われて。会場の規模も規模だから、責任が重大なことも理解できたんですがまだ若かったのもあり、我慢できずにこっそり行ってました。でも、すっごい日焼けしているからもうバレバレ(笑)。『散歩してたら焼けちゃって~』とか言い訳したら『嘘つけ(笑)』『バレてるから!』と突っ込まれてました」
30代後半、懇意にしているカメラマンに誘われたりサーフィン雑誌『Blue.』で連載を受け持ったことから、再び海との関係が繋がり週に1~2回、波乗りを楽しんでいるそう。
――ビア、サーフ、プランツ。そしていつでも気持ちのいいサウンド。
『1000年』のワンシーンは、今のPESさんの日常。そして、もし生まれ変わっても大切にしたいと思えることなのでしょう。
最後に、これからやりたいことを訪ねると「うーん」と天を見上げてから、一言。
「何はともあれ、ギスギスはしたくないかな。素直でいたいですね」
「気が付いたら、こればかり使っているそんなモノが好き」
目覚めのコーヒーを飲んで、植物に水をやり、ギターを弾いて25分ほどのジョグ。そして仕事。夕方に行きつけの店へ行き仲間とビールを飲み、ときに“サーフ”。これが、PESさんのルーティン。
仕事と遊び、その狭間にある移動時間のそれぞれで活躍するアイテムがHydro Flask®(ハイドロフラスク)のボトルやOOFOS®(ウーフォス)のサンダル。そして、機能美とデザイン性を備えるNOMADIX™(ノマディックス)のポンチョなど。
「気が付けば自然と使っている品ってモノとしての完成度が高いんだと思います」

景色が変わることで、発想が広がる
「ある時期に、移動時間にいいクリエイティブが発揮できていることに気付いたんです。目に入る景色が変わることで、感覚が冴えるのかな?だからバスや電車をよく利用するんです。家で仕事をするときもベランダに出たり、夏ならビニールプールを出したりして、あえてシチュエーションを変えるようにしています」
ここ2~3年で特にハマっているのが観葉植物とのこと。「手入れすれば元気になるし、成長するから一日として同じ姿ではない。“生きているフィギュア”を集めている感覚です(笑)」とPESさん。



ベランダに出て植物に水やりする時、近所にある行きつけの店に赴く際につっかけるのがOOFOS®のサンダル『OOahh-Olive Drab』。「履き心地の良さに“ぶったまげた”というのが正直なところです。まったく足が疲れなくて、いいですね」Hydro Flask®のボトルは、冬のサーフ時に頻繁に登場。「朝、温かいコーヒーを入れて道中と海で楽しんでいます。ボトルはいっぱい持っているのに気が付くと使っているのはHydro Flask®の白い『12 oz Flex Sip』ばかり。温かいコーヒーをちょっとずつ飲むので、このサイズ感がちょうど良いんです」

海の未来を守るためにできること
今、PESさんが関心を持っているのが、ビーチクリーン。特に、2024年6月8日に種子島で開催されたHydro Flaskもその活動をサポートしているビーチクリーンアクティビティ『Save the Seed in TANEGASHIMA vol.2』への参加は、さまざまなことを考えるきっかけとなったそう。
「種子島は波がいいから、4年前ほど前からときどき行ってたんです。そんななか、サーフィン仲間から種子島でゴミ拾いを始めると聞いたとき、アタマによぎったのは『マジか!』でした。というのも、種子島は海外から流れ着く“漂流ゴミ”が多いんです。拾ってもキリがないとは思いましたが、手伝うことにしました」
当日、生憎の悪天候のなか、子どもたちも一緒になって大量のゴミを収集。「本当に大変だったけど、目の前の景色がきれいになってゆくのはやった人にしかわからない充実感があって、この“小さな実感”をシェアし続けることで、意識変化の連鎖が起こって未来も変わっていくのでは?と思いました」
意識の変化はモノ選びにも淡く影響しているのか、
「NOMADIX™のポンチョは、袖がないクールなシルエットと肌触りや吸水性が良いところが気に入っていましたが、実はリサイクル素材でできているっていうのもいいですよね」
できる範囲で環境によいものを選ぶことも、目の前を1ミリずつ良い未来に変えてゆく行動。
気負わずに、楽しみながら。
Photo:Kengo Shimizu Text:Hiroshi Morohashi(LEMON SOUR, Inc.) Edit:Toshiki Ebe(ebeWork)