「良走」のスタートラインはカラダ診断
これからの時季はランナーにとって心地良く走りを楽しめる気候で、マラソン大会のハイシーズンを迎える。街中でも真剣なランナーの姿が増えてくるころですが、「自己流で走っていたら膝を痛めた」「頑張ってもタイムが伸びない」という悩みを抱えている人も多いのでは?そんなあなたに朗報。プロランニングコーチ・黒川遼さんに「カラダが泣かないランニング」の秘訣を聞きました。「たくさん走ったり、速く走ることを一過性でなく、より継続して続けることが大切です」と黒川さん。まずは、自分のカラダを知ることから始めましょう。
改善の第一歩は「自分のカラダを知ること」
「たくさん走れば・鍛えれば走れるようになる」というのは半分正解であり、半分不正解。上記を踏まえて継続することが大切ですが、実は継続性を左右するのは「自分の身体のクセや弱点を把握できているか」だと黒川さんは教えてくれます。
「フォームの改善がうまく行けば、今までのペースがラクに感じられるようになり、人によってはタイムの更新に繋がります。また、自己流で走っていると、知らず知らずのうちに気付かぬ部位に負担が偏り痛みに繋がることもありますが、それも抑えられます」と黒川さん。
では具体的にどうすればいいでしょうか。簡単にできる「オーバーヘッドスクワット」で、あなたのカラダをチェックしてみましょう。鏡の前で自分の姿勢を確認することをおすすめします。
カラダチェック:オーバーヘッドスクワットをやってみましょう
① 事前フォームはこちら

まずは直立し、両手をまっすぐ上に伸ばしてみましょう。
■チェックポイント:
腕、耳、肩、肋骨、骨盤(股関節)、膝、くるぶしが一直線になっているかを確認しましょう。反り腰や猫背になっていないかも注意してください。できれば壁にベタッと身体をつけてみて、腰が浮き過ぎないか確認してください。
② では、バンザイをしたままスクワットを

次に、膝からお尻が水平または膝よりやや下がるくらいまでスクワットしてみましょう。お尻を円の中心点に見立て、胴体と膝の角度が45°のイメージです。
■チェックポイント:
スムーズに膝を曲げられるかがチェック基準です。この時、どこかに違和感や痛みを感じないかチェックしましょう。
このポーズがスムーズにできたら、次は詳細なチェックに進みましょう。
③ さて、カラダは大丈夫?
チェックポイント1:腕は正しい位置にありますか?

[傾向]
腕が耳に付けられない
真っ直ぐ上に上がらない
[原因]
胸椎部(胸後ろ辺りの背骨)が反れないこと、 肩甲骨を後傾できない(うまく下げられない)ことで、腕を真っ直ぐ上げることが難しくなっています。「デスクワークが多い人や日常生活で肩を大きく動かす機会が少ない人は、肩周り(鎖骨や肩甲骨)が固まりがちですね。その結果、腕を上げたときに無理な力が入ったり、可動域の制限でスムーズな動きができなくなります。肩周り(鎖骨や肩甲骨)や肋骨周りには、呼吸筋も多いので、張ると呼吸が浅くなります。逆に、しっかり動けると深く呼吸ができるようになります」と黒川さん。
チェックポイント2:背中はまっすぐですか?
[傾向]
反り腰or猫背になってしまう
[原因]
日々の姿勢が崩れていることで、体幹が自由に動けず姿勢を保つのが難しくなっています。「胸椎の可動性低下、骨盤の前後傾コントロール不足、股関節の引き込み不足が、背中が反れずに丸くなったり、腰を強く反らせて代償するおもな原因です。日々の歩き方やランニング時のクセ以上に、特に長時間の座り姿勢の影響が大きいので、意識的によく体幹を動かして可動性を保つことが大切ですね」(黒川さん)
チェックポイント3:膝はどの位置にありますか?

[傾向]
膝が内側に寄る
[原因]
太腿や臀部の筋力バランスが崩れているため、膝が内側に寄りやすくなっています。
「膝が内側に曲がる原因は、内腿やお尻の筋力不足、股関節の可動域の低下です。それにより着地時に重心のズレが生じ、特に長時間のランでは膝や股関節の違和感や痛みにつながることがよくあります。シューズのすり減りかたが均等でない人は要注意です。普段からシューズの減り方をチェックして、自分の着地のクセを知ることが、ケガを防ぐ第一歩ですね」(黒川さん)
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「走りが変わる!フォーム改善」
「カラダ診断」を通して、カラダのクセや改善すべきポイントに迫りました。では、実際に走るときに 「楽に」「効率よく」「ケガなく」走るには?「フォームを意識するだけで、走りの軽さが変わりますよ」と黒川さん。今回は フォーム改善の3つのポイント、そして ラン前後にやっておくべきケアについてもスタディしてみます。
走りの基礎をつくる3つのポイント
1.上半身からの重心移動(自然な前傾姿勢)

「ランニングは、ほんの少しの前傾姿勢が大事です。ただし、腰から折れるような形ではなく、上から順番に。目線は足元ではなくやや遠くの地面(30~50mほど先)を見るようにすると、自然に理想の姿勢になります」と黒川さん。
[意識するポイント]
・胸を張りすぎず、リラックスする
・肋骨・骨盤が自然に前傾するイメージ
・重心が適切に前方へ移動すると、膝やふくらはぎへの負担が減る
「前に倒れる感覚をつかめば、無理に地面を蹴ったり、無理に足を運ぼうとしなくてもスムーズに進めます」(黒川さん)
2.前に進むには真下へ小さなバウンド

「足を無理に運ぼうとするのではなく、全身のしなりを意識すると自然とスムーズな走りになります。足の着地場所は身体の前ではなく、真下をイメージしてみてください」
[意識するポイント]
・身体(肋骨や骨盤)が弾むバスケットボールになったイメージで
・膝が内側に入りすぎないように注意
・着地の衝撃を和らげるためには、体を固めるよりもしなやかな動きが大切
「重心よりも足を先に遠くに伸ばし過ぎると、ブレーキが掛かり過ぎて足腰への負担が大きくなるんです」(黒川さん)
3.腕振りは「振り子運動」
「腕振りは肩や手先ではなく、肘の動きを意識することで無駄な力を使わずに走れます」
[意識するポイント]
・2のバウンドのついでに肩をストンと落とすような腕振り
・手は強く握らずリラックスさせる
・肘は軽く畳んでコンパクトに
「特に後半の失速を防ぐためには、腕の振りを整えることが大事です。疲れてきたときほど肘の動きをチェックしてみましょう!」(黒川さん)
さて、カラダとフォームを知った上での更なるハックは?
「走る前後のコンディショニングが、実はフォーム改善にもつながるんです。例えば、筋肉の動きをスムーズにするために、走る前に軽く刺激を入れるのはすごく効果的ですね。最近は、プロのランナーだけでなく、市民ランナーの間でも振動刺激を活用したパッシブウォームアップが注目されています。Hypericeのようなケアデバイスは、疲れが溜まっていそうなふくらはぎや前腿の緊張緩和として使われやすいですが、感覚が鈍く使われにくい臀部や、走るときのアクセルとなるハムストリングスに適度な感覚入力刺激を入れることもできて、スムーズに走り出せるんですよ」(黒川さん)
自分のクセを知り、フォームを改善。効率よく走るコツをつかんだ今、あとは実践するだけです。ランニングは、タイムを縮めることだけがすべてではありません。自分の走りを楽しみながら、成長を感じることが大切なのです。軽やかに、一歩ずつ前へ。あなたの走りが、もっと自由になることを願って。

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Text:Hiroshi Morohashi(LEMON SOUR,Inc.)Edit:Toshiki Ebe(ebeWork)llustration:Akihiro Kurumizawa