大阪・箕面から「地球を、たのしくする。」!? おにぎりと出汁とワインの店 DOJYO編|マガジン|アルコ株式会社

大阪・箕面から「地球を、たのしくする。」!?
おにぎりと出汁とワインの店 DOJYO編

アルコインターナショナルからアルコへ。
会社名から「インターナショナル」の名を外して、新しいステージを迎えた「地球を、たのしくする。」企業、アルコ。これからわたしたちのさまざまなアクションにご注目いただきたいなかで、まずお伝えしたいのがアルコ祖業の地、大阪・箕面を盛り上げていくこと。これが「地球を、たのしくする。」第一歩になるんです!!でも、アルコが飲食店?おにぎり?出汁とワイン???
みなさんが疑問に思う「なんで、どうして?」にお答えします。

もともとは、社長の行きつけのワイン店 !?

阪急電鉄箕面線の箕面駅。北側には箕面大滝を擁する国定公園が広がる関西圏のアウトドアライフのメッカです。

改札を降り立ってすぐの駅ビル1階には、大きな「おにぎり」の暖簾をかけた、ちょっと気になる飲食店が軒を構えています。

その名は「どじょう」。

2025年11月にオープンしたばかりのこの店舗ですが、実は箕面駅の2駅梅田寄りとなる桜井駅で10年ほど営業していた「ナチュラルワインとお出汁」を提供する人気店が、このたび移転リニューアルしたものなのだそう。しかも、弊社代表、降幡昌弘も行きつけなのです。

桜井で開業10年を迎えた節目である2025年、新天地での旅立ちをスタートしたばかりという「どじょう」の店主、津吉良太さんの想いにアルコが共鳴したことで生まれた化学反応。さて、その顛末について、津吉さんに話を聞いてみましょう。

食を第一に考えたら、原風景「おにぎり」に行き着いた

「ナチュラルワインとお出汁」をコンセプトとした店舗から、リニューアルによって加わったのは、朝・昼のおにぎり提供。

やっぱり気になるのは、「なぜ、おにぎり?」というところ。

「長くナチュラルワイン業界にいると透けて見えてくるのが、“ワインを飲まない人はお断り”的な風潮です。もちろん、僕らは前店舗の頃からは、飲めない人もウェルカムでやってきているんですが、“ナチュラルワイン”を掲げている以上、よその方には、“ナチュラルワイン”=難しいと敷居の高さを感じさせてしまうことも。
その固定観念を取り払いたかったんです。おにぎりで。
僕自身、ワイン以上に食が好き。変な言い方ですが、食を尊敬しています(笑)。好き嫌いがなくて、誰もが食べたことのあるお母さんの味、“おにぎり”こそ、リニューアルして第一に取り組みたいことだなと思ったんです。さらに、ウチのおにぎりの魅力を知ってもらえれば、より多くの人にワインの魅力を知ってもらうことにもつながるかなと」

店舗を共同で運営しているのが管理栄養士の資格も所有している妻・りえさん。二人三脚でメニュー作りにいそしんだそう。

同じ近畿地方の滋賀県産コシヒカリを使用し、兵庫県の足立醸造による味噌を使った、ゆず味噌や豚汁など、材料にも津吉さんご夫婦のこだわりが。

「食べたあと、しんどくならないように」

と、りえさんが丹精込めて作るランチメニューは、おにぎりと豚汁のセット。おにぎり2個に豚汁とおばんざい3種、お漬物と盛りだくさん。それでも、どこかやさしい味わいです。

ナチュラルワインや地元のクラフトビール「箕面ビール」なども楽しめるのも「どじょう」らしいところです。

ナチュラルワインとお出汁、マリアージュの秘密

移転前の店舗を桜井にオープンしたのは2015年。わずか6席の小さな店舗だったそうだが、「ナチュラルワインとお出汁」というちょっと意外な取り合わせと、地域では珍しいワインの品揃えや料理のセンスから、地元では知る人ぞ知る名店になったのだそう。

アルコ代表の降幡のほか、大阪のちょっとした名士たちが集うナチュラルワインの店として知られることに。

「最初のキャリアでは、ワインのワの字も知らずにワイン販売の世界に飛び込みました。ソムリエ資格をもつ先輩から、“ワインは歴史の古ーいお酒なんやで”という一言でロマンティックな奥深い世界にハマったのです」

その次に京都で勤めた会社から独立してワイン販売を営もうとした矢先、わずか6席の前店舗の物件の情報がたまたま津吉さんの耳に入ったそうです。

「飲食店を出すことは、独立後すぐには考えていませんでしたが、空き店舗の情報は何かのご縁かなと。調べれば、桜井という街は古くは西国街道で賑わった職人街。“ナチュラルワインとお出汁”がマッチするというカルチャーを発信するには最適じゃないか、という思いがひしひしと湧いてきたんです」

「ナチュラルワインとお出汁」という当時としても珍しいマリアージュを提案してオープンした「どじょう」はその後、好事家の間で話題となり、知る人ぞ知る名店となったのです。

さて、「ナチュラルワインとお出汁」というパワーワード。これも津吉さんが長年ワインと触れ合うなかでワインも食も愛した結果、生み出したものといいます。

「ブルゴーニュのナチュラルワイン界の大御所にフィリップ・パカレという人がいるんですが、彼がかつて言っていたことがずっと頭にあったんです。“ワインも発酵しているから、日本の味噌や醤油などの発酵食品とも相性はいい”という言葉。

考えてみたらミネラル分は、いわゆるテロワール(ブドウの育つ土壌)とも関係しますし、出汁を使った食品もミネラルは豊富。使う調味料も少なくてすみますから、やさしい味わいでナチュラルワインともぴったりなのは、当たり前なんですよね」

聞けば、店名の「どじょう」。津吉さんが大好きな映画監督、ケン・ローチのファミリーネーム、ローチ=loach=どじょう、という意味とワイン製造における「テロワール」を意味する「土壌」のダブルミーニング!洒落が利いています。

ワインは、人と人とをつなぐ“ハッピーアイテム”

社会人となってナチュラルワインと25年以上関わってきた津吉さん。それだけ、人々を魅了するものがワインにはあるのだといいます。

「ワインの世界って、飲んだことないワインを飲まれた方が隣に座っていたら、それがもう先輩になるんです。高圧的にマウントをとりに行くんじゃなく、“それ、どんなお味でした?”というところから会話が始まっていく。世の中のすべてのワインを飲んでいる人なんて絶対にいないんです。年々、新たなものが登場しますし、銘柄が同じでも、味は毎年変わりますから。そう考えると、ワインって、人と人とをつなげていく『ハッピーアイテム』じゃないですか?」

知らないワインについて、情報を共有し合って、会話が広がっていく。そんな場を提供してきたのが、津吉さんのお店「どじょう」なのでしょう。

もっと箕面を面白くしたい

10年同じ場所で、飲食店を続けるということが、並大抵ではないことは素人でも感じられます。そうした中で移転を決意したきっかけは何だったのでしょうか。

「桜井で10年続けたられたことは、お客さまも含めて非常にありがたいことです。そのなかで、コロナ禍も経験して、チャレンジできたことやできなかったことがいろいろありました。

ここまでの道中ワインの店をやっている仲間から、“大阪市内に来なよ”など、いろいろなお話もあったんです。降幡社長や常連のお客さまたちにも、いろいろ相談させてもらいました」

長く続けていると、多くの葛藤が生まれます。それでも背中を押してくれる箕面愛あふれる仲間たちとの出会いが、津吉さんご夫妻を勇気づけたと言います。

「長く店を構えていると、いろいろな層の方が今、箕面にいらっしゃるのがわかります。日中は大阪市内で働き、僕らの知らないような新しい情報などを取り入れて箕面に帰って来られる。目も肥えていらっしゃる方々を相手に、僕がどういうかたちで箕面に何をお返しできるだろうかと考えたときに、得意ジャンルである食やワインでも、まだまだ追求できることがあるんじゃないかなと」

と、津吉さんは箕面でのチャレンジについて明かしてくれました。

「どじょう」の入る店舗の2階には、同じくアルコが手がけるトレイルランショップ「unité(ユニテ)」も展開中。その店主である田所伸太郎さんをはじめ箕面愛が深い仲間もたくさん。

津吉さんもそうした仲間と手を取り合えるからこそ、“もっと箕面を面白くする”に真剣になれるというわけです。