大阪・箕面から「地球を、たのしくする。」!?
アルコCEO・降幡昌弘 編 Part 2
Think
阪急箕面駅前の「箕面阪急ビル」に店舗を構える「unité」「どじょう」をサポートし、箕面を盛り上げるアルコCEO・降幡昌弘。大阪から「たのしい」を発信していくための思いを語ります。
ローカルとグローバルの狭間に思うこと
「箕面を鎌倉のような街に」
事業を継いだ当初、降幡はこんな言葉をよく口にしていたそう。「箕面を、たのしくする。」と謳うずっと以前から、この思いは心に強く残っているのだといいます。
「関西圏以外では箕面の読み方すら知らない人が多いと思うのですが(苦笑)、絶対ポテンシャルのある街なんですよ。なぜ鎌倉かというと、東京に住んでいたときはウィンドサーフィンでよく訪れていて、特有のムードがとっても好きだったんです。歴史のある鎌倉にはおよばないというなら、今の(東京都八王子市の)高尾山周辺に感じるような勢いを箕面でも体現してみたいのです」
20世紀初頭には、今はなき動物園や公会堂などで賑わったという箕面駅周辺は、阪急電鉄創始者としても知られる小林一三によって、観光地としてのポテンシャルを見出された場所でもあります。歴史の波に飲まれ、観光拠点の座は宝塚に譲ったと言われています。
「今、箕面市は北大阪急行が延伸され、大型商業施設もある箕面萱野駅のほうが盛り上がり始めています。でも僕らが盛り上げたいのは、旧市街ともいえる阪急箕面駅のほう。自然あふれる国定公園に近いのは、こっち。盛り上げ甲斐もあるでしょ?」
魅力を内包した土地でありながら、今一歩である点には降幡が関西の土地柄に感じる歯痒さも。
「こういうとき、関西圏というのはコマーシャルがあまり上手ではないなと感じるんです。今は箕面在住ですが、かつて東京に住んでいたときにも感じていたこと。いい街だからこそ、“来てほしくない。あまり有名になってほしくない”と思われる住人もいらっしゃるのも理解できます。
一方で、湘南や鎌倉のコミュニティ作りや土地のブランディングが非常に成熟していると思っていました。その点、規模感も含めて関西はそうした取り組みが上手くない気がしています。
たとえば関東の人たちは湘南みたいなビーチエリアを関西圏で想像できますか? 和歌山とか三重には魅力的なビーチがあるけれど印象は薄いですよね。PRがイマイチなのでしょうね」
こうした感覚から、自身が暮らした関東圏や視察などで訪れた欧米の魅力あふれる街のブランディングを加味しながら、自身でも箕面や大阪で実現していけたらという思いが滲みます。
「僕が箕面だけで人生を過ごしていたら、“箕面から世界に!”なんて1ミリも思わなかったでしょうね。箕面で生まれ育って、一度この街を出て、さまざまな土地で “おもしろいヒト・モノ・コト”に出会った。そしてまた箕面で生活をしはじめて、この街のポテンシャルを再認識できたし、逆に不足していることもわかった。地元への愛情とグローバルでの経験をうまく融合できたら箕面は間違いなくもっと魅力的になると思っています。訪れた人が住んでみたいとまで思ってもらえたら最高ですよね」
「小林一三の夢の続きを、というと大それた話ですが、それだけのポテンシャルを感じる箕面。ここをアルコが盛り上げていきたいのです」

大阪の盛り上がりも不可欠
アルコは2025年、社名の変更とともに大阪本社を心斎橋から、再開発が著しい梅田エリアの商業ビル「プライムゲート梅田」に移転リニューアル。ここにも、「地球を、たのしくする。」ための一歩として「大阪を、たのしくする。」という考えが読み取れます。
「古くから商業の中心地だった心斎橋を離れて、100年に一度といわれる再開発で活気に満ちている梅田エリアに本社を移しました。“うめきた”と呼ばれるこのエリア自体が“大阪から世界に”という突破口を開こうという志のもと官民一体で頑張っています。
新オフィスのビルの窓から日々発展している梅田の街並みを眺めていると、大阪から世界をたのしくすることが必ずできるという自信と勇気が湧いてくるのです」
今後も名だたる大企業の関西拠点の移転が数多く予定されており、今以上の活況が見込まれます。また、ビジネスエリアとしての発展とともに、ショッピングや飲食、ホテルといったアミューズメントもますます充実。街は勢いづくばかりです。
「もちろん、ここで感じた大阪の勢いを、阪急電鉄に乗って30分程度で行ける我が街“箕面”にも還元していきたいと思っています」
前向きなパワーにあふれる梅田の空気をダイレクトに感じることが、箕面の発展にも欠かせないという降幡の思いがうかがえます。
「そうは言っても大阪・梅田の発展もまだまだこれから。自分たちもまだまだ。一緒に発展していけたらいいですね」
そうした思いから、アルコは2026年から新たな取り組みとして、Jリーグ「ガンバ大阪」とSVリーグ「大阪ブルテオン」のスポンサーになることが決定。さらなる大阪の発展にも寄与していきます。
そうした点も含めて、進境著しい“うめきた”の地で新たな発展の形を見せるアルコの姿にもご注目いただきたいところです。



「箕面を、たのしくする。」の先にあるアルコの未来
大阪を軸とする一方で、東京での発展もまた外せないと降幡は話します。
「東京にも拠点があることで、感度の高いアンテナをより広く張ることができるわけです。さらに言いますと、東京オフィスは、大規模再開発の行われている品川への移転を予定しています。そうした発展や新しいうねりみたいなものを大阪同様に間近で体験できることが目的のひとつです」
品川駅西口の再開発エリアもまた、“うめきた”同様、新たな息吹を感じさせる街。この現場を目の当たりにできるオフィス移転も、「何より体験が重要」という降幡の経営哲学を体現したものといえるでしょう。
「自分の目で見て、耳で聞いたものが栄養になりますから」
自身はトレイルランを実践しながら、その一方で、社員にもアクティビティやスポーツに取り組む支援制度や研修などを提供。こうした点からも、東京オフィスの移転の動機と同じように体験の重要性が垣間見られます。

「何事も刺激って大切じゃないですか。だから“刺激し合い、高め合う”ことをアルコの行動指針としても定めています。ファッションにしても、アウトドアアクティビティにしても、先端に触れていることで鮮度の高い情報を発信できますし、そうした刺激が新たな発想にも結びつく。
毎日、街に出てマーケットの動向などをチェックしている人と、家と職場を往復するだけの人では、感覚がずれていくと思うんです。
僕らは先端的なファッションアイテムやアウトドアアイテムをあつかう商社という面もありますから、日々の刺激を身近に感じることは、すごく大事だと思うんです。何より『地球を、たのしくする。』という大きな使命を掲げていますしね(笑)」
どんなときも「たのしいこと」の中心にいて、みんなのワクワクを高めていく。アルコは今後も、大阪と東京のふたつの拠点からポジティブな姿勢を発信していきます。
そして、こうしたアルコの行動原理を支えるのは、エモーショナルなマインドです。


「アルコは1971年に商社を祖業として創業しました。だから、モノを売ることが軸ではありますが、ただ現代においてモノに付随する体験を通じた感動を伝えなければ意味がないと考えています。
僕がまさに実行に移したトレイルランや、東京での居住、海外への渡航などを通じて感じた体験によって得たダイレクトな刺激。これに似た感動を多くの人に味わっていただくのが、僕らの仕事だと考えています。
だからこそ、いかに感動につながる商材を提供できるか。旅行にしても、登山にしても、ランニングにしても、必ずそこに付随するアイテムは必要になってくる。つまり、そここそが我々の出番。どのようなアイテムを提供できるかで、体験の質も大きく変わると思います。
人は動いて、出会って、という営みの中でこそさまざまな感動が味わえる。その傍らに、いつもアルコは寄り添っていたいんです」
そして、モノという枠組みを飛び超えた目論見も。
「モノを買って終わりではなく、体験そのものも、モノ同様に提供していきたいですね。そのためにも、ギアを揃えて遊びも体験できるショップ『unité』や、おにぎりとワインを通じて人との関わりも感じられる食どころ『どじょう』を、箕面にオープンしました。
今後は、箕面にも宿泊施設などをオープンできたら、もっともっと、アルコから“たのしいこと”が提供できると画策しています」
「箕面を、たのしくする。」と「地球を、たのしくする。」をつなぐ、アルコの野望。次の一手は何なのか? ご期待ください。