2023.10.27

INTERVIEW Vol.24(後編)

「トレイルランニングに真剣に向き合うことは、
人生のすべてに活きてくると思います」

恵比寿の美容室「Broccoli Playhair(ブロッコリー プレイヘア)」のオーナーであり、
ランニングチーム「チキンハート」を主宰する藤川英樹さん。
前編はその経歴とチームの概要についてお伝えしました。
後編はグループランの様子と、
試着した「Topo Athletic®(トポアスレチック)」の感想についてリポート。
そして、トレイルランニングの魅力についてもたっぷりと伺いました。
(前編はこちら)

速い=偉い、ではない

午後8時半。
藤川英樹さんがオーナーを務める「Broccoli Playhair(ブロッコリー プレイヘア)」から程近い場所で、
グループランがスタートしました。

全長200メートルを超える坂道を、メンバーそれぞれが、思い思いに走り始めます。
いわゆるピストンで、上りと下りを延々に繰り返すのです。
吹き出す汗、切れる息。
グループランといえど、かなりタフな様相を呈しています。

ただしこの日はオープンの練習日。
初心者の人たちも参加しており、
彼らは無理のないペースでグループランを楽しんでいました。

「チキンハートのモットーは“強く、カッコよく”。
でも同時に“速いは偉いではない”ともメンバーに伝えています」

トレーニングを経て成長を感じることができれば、誰もがうれしくなるはずです。
でも藤川さんは、そこで決して調子に乗ってはいけない、と考えているのでしょう。
若い頃から野球に取り組み、チームプレイの経験を積んできた藤川さん。
彼の言葉の端々には、常に他人への思いやりが感じられました。

ランニングから飲みのシーンまで(?)活躍するシューズ

今回のグループランは、Topo Athleticの試着会も兼ねています。
トレイルランニング用の新作「MTN RACER 3」と人気の「ULTRAVENTURE 3」、
ロード用の新作「PHANTOM 3」を各サイズ用意。
すでにTopo Athleticを履いたことがあるという人も、
そうでない人も、多くの人が試着してくれました。

藤川さんが初めてTopo Athleticを履いたのは2019年頃のこと。
川口のランニングショップ「ルナークス」で、
MTN RACERシリーズの最初のモデルを購入したそうです。

「それを履いて、初めての100マイルレースを走ったんです。
香港の『HK168』というレースでした」

それまで藤川さんが履いてきたシューズとは、だいぶ印象が違ったそうです。
安定感があって、マメができにくい。
ずっと悩まされていた捻挫癖も解消しました。

もちろん現在も愛用中。
あらゆるシーンでTopo Athleticを履いています。

「ラン、仕事、そして飲み(笑)まで。
私服に合うデザインもありがたいのですが、
いつでも走れるようにという思いもあるんです。
ウェアも乾きやすいものを着ていますし。
電車を途中下車して、走って帰宅していた時期もありました」
そして今回のグループランでTopo Athleticを試着したメンバーの声もお届けしたいと思います。

左_がちゃさん(29歳)/
着用モデル「MTN RACER 3」
「程よい硬さのソールから地面の感触が伝わってきました。
前作よりもつま先周りに適度なゆとりがあって、走りやすかったです」

中左_青戸まさなさん(25歳)/
着用モデル「MTN RACER 3」
「足首周りが柔らかい印象です。粘った感じ捻挫しにくそう」

中_熊谷祐介さん(31歳)/
着用モデル「ULTRAVENTURE 3」
「ワイド過ぎず、ソールがアーチ(土踏まず)を押してくれる感触があります。
グリップ性も抜群」

中右_平田大二さん(48歳)/
着用モデル「MTN RACER 3」
「先日、前作の「MTN RACER 2」を履く機会がありました。
比べるとかなりフィット感が良くなっていますね」

右_浜田尚輝さん(35歳)/
着用モデル「PHANTOM 3」
「下りでクッション性のよさを感じました。ヒザへの衝撃が少なくて、足が前に出る感じ」

およそ40分のグループランが終了。
チキンハートのメンバーたちは「Broccoli Playhair(ブロッコリー プレイヘア)」に戻り、
その後飲み会へと突入します。
とことん自分を追い込んでから、ともに走った仲間と杯を重ねる。
そのお酒が楽しくないはずはありません。

トレイルランニングは僕の武器

前回藤川さんは「どんどん若者を巻き込んでいきたい」と話していました。
このチームランを見ればわかるように、
今のリアルな20代、30代を巻き込んで活動を続けています。
巻き込んで、藤川さんはいったい何を伝えようとしているのでしょうか。

「ランニングを通じて新しい出会いがあるのは素晴らしいこと。
でもその出会いに寄りかかるだけではなく、
練習やレースを通じてさらに自分を高めてもらえたらと思います。

トレランに真剣に向き合えば、その姿勢は仕事にもプライベートにも必ず活きてくるもの。
偉そうなことを言うつもりはありません。
ただ自分の経験に照らして、そう思うだけで」

藤川さん自身は25歳から28歳までオーストラリアにてワーキングホリデーを経験。
その後30歳まで世界一周の旅を続けていたそうです。
その旅でパートナーだったのは、今の奥さま。
しかし、日本に帰国後、一度別れてしまったそうです。

「ありふれた話ですが、酒が原因です。
別れたあと、トレイルランニングに出会わずにあのまま酒を飲み続けていたらどうなっていたか。
結果は神様しかわかりませんが、
きっと、妻と再会することはなかったと思うんです」

今では奥さま、そして1歳半のお子様とともに、
充実した家族の時間を過ごしているとのこと。

「トレイルランニングが、僕に新しい景色を見せてくれました。
新しい景色とは目に見える風景ではなく、出会いのこと。
仲間との出会い、家族との出会い、
そしてTopo Athleticとの出会いもそうです。

今となってはトレイルランニングは、
藤川英樹の“生きる武器”になったのではないかと思うんです。
美容師であることと、同じくらいの武器に」

藤川英樹 / HIDEKI FUJIKAWA

1981年、兵庫県生まれ。
美容院を営む両親のもとで育つ。
専門学校を卒業後、
東京・六本木の美容室を経て25歳でオーストラリアへ。
世界一周の旅を経て28歳で帰国。
2012年、恵比寿に「Broccoli playhair(ブロッコリー プレイヘア)」をオープンする。
その後ランニングチーム 「チキンハート」を発足。
現在は美容師を務めながら、
国内外のトレイルランニングレースに参加する日々を送っている。
https://www.instagram.com/chickenheartrt/
https://www.instagram.com/hdk_trailrun/


(ショップ)
Broccoli playhair(ブロッコリー プレイヘア)
東京都渋谷区恵比寿西1-30-16 2F
営業時間:11:00〜21:00
定休日:火曜、第1・第3水曜
電話:03-3461-1919
https://broccoli-playhair.com/

  • Photo: Kengo Shimizu
  • Text: Tomoshige Kase
  • Edit: Toshiki Ebe(ebeWork)

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